2018. 04.23 MON

JPEG XS, real paradigm shift in JPEG codec history
オープンフォーマットJPEG XS、画像符号化史上初のパラダイムシフト。 

(JPEG規格が開発されてから約25年が経過した。通信技術とメモリ容量が大幅に向上した現在、JPEG標準研究グループであるJPEG は、JPEG基準の再構成に取り組んでいる。) 

 Joint Photographic Experts Group(JPEG)が、規格化を進めている低遅延軽量画像符号化システム「JPEG XS(ISO / IEC 21122)」のプリ実装が、アーリーアダプター達より開始されている。

 JPEG XS標準化プロセスの開始は、2016年のJPEG 71回目の会合にて承認された。
JPEG XSは、超低遅延、電力、帯域幅の要件だけでなく、実装が簡単なアルゴリズム、少ないメモリでも動作、そして長いケーブルランをサポートすることを目的にしている。
コアコーディングシステムは2018年7月に完成予定で、リファレンスソフトウェアを含んだ全体の完成は、来年2019年4月に予定されている。

JPEG XSの作業計画はSC29事務局(日本)によって維持管理されている

 JPEG XSの画像圧縮処理は、エネルギー消費が少なく、WiFiや5Gを使って低遅延で高画質の画像を送信できることで、VRストリーミング、拡張現実(AR)、宇宙画像、自走車、映像編集などのアプリケーションで使用される期待が持たれる。

 ドイツFraunhofer Institute for Integrated Circuits IIS(フラウンホーファー研究所)は、先日、米ラスベガスで開かれたNABショーで、Adobe Premiere Pro CC上でJPEG XSコーデック入力用のプラグインを実装し、4K/60pストリームのリアルタイム再生を実現させた。
フラウンホーファー研究所によると、開発中のJPEG XSコーデックは、SMPTE 2110ベースの伝送規格に基づき、高画質データを限られた帯域幅内で転送しなければならない場合や、限られたコンピューティングリソースで処理しなければならないといった場合、メザニン圧縮として最適化されているという。
JPEG XSの典型的な圧縮比は、4:4:4/4:2:2で16ビットのコンポーネントの画像シーケンスの場合、1:2から1:6の間で(JPEGは1:10)、複雑性の低いアプリケーションやプラットフォームに依存しないアプリケーションで利用できる。
またエンコードからデコードまでのアルゴリズムのレイテンシーは、32ビデオラインとしている。
JPEG XSの画像圧縮率は、一般的なJPEGと比較して決して高圧縮ではない。これはJPEGフォーマットが画像ファイルのダウンロードの最適化を目的としているのに対し、ストリーミングに最適化するためである。

JPEG XSのエンコードとデコードのアーキテクチャ。 IBC2017で発表された白書「INTRODUCTION TO JPEG XS – THE NEW LOW COMPLEXITY CODEC STANDARD FOR PROFESSIONAL VIDEO PRODUCTION」より

<フラウンホーファー研究所が定義するJPEG XSの特徴>
- メザニン圧縮
- 超低遅延
- 低消費電力
- 対応フレームレート:24〜120fps
- 色空間: RGB、YCbCr / YUV
- 対応解像度:最大8K
- 多世代の堅牢性
- 複数のプラットフォームFPGA、ASICのサポート
- リアルタイムソフトウェア実装

 JPEGのワーキンググループでは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の工学部(STI)専任であるTouradj Ebrahimi教授(エフラヒミ教授)が参加している。
エフラヒミ教授の率いるマルチメディア信号処理グループでは、JPEG XSの性能を評価する新方法論で検証し、JPEG XSの技術面が健全であることを証明した。
「JPEG XSは、画像符号化の歴史上初めて、クオリティを重視した圧縮率で、エネルギーを節約しながら処理の高速化を図っている。これは当にパラダイムシフトだ。」(EPFLの公式発表文面より引用)

 省エネルギーでストリーミングに最適化、ということは、電力が制限される宇宙探査機から高精細な映像を伝送する用途に有望だ。
エフラヒミ教授は、欧州宇宙機関(ESA)がJPEG XSの技術に興味を示しているという。
またVR技術に適用することで、ユーザの頭部の動きに合わせて画像や動画を素早く表示することができるため、頭部の動きやヘッドセット内のシーンのずれに起因する「VR酔い」を解決できることも示唆している。
JPEG XSはオープンソースで、汎用HDRフォーマットに対応するため、映画およびテレビ技術者協会(SMPTE)では、編集フォーマットとしてJPEG XSを採用することを検討しているという。
現在、映画撮影などで使われるハイダイナミックレンジイメージ(HDRI)対応のビデオカメラは、独自フォーマットを採用しているため、編集の際にファイルフォーマットを変換する必要性がある。
今後、JPEG XSを使用することで、異なるカメラデバイスで作成したHDR画像を編集ソフトウェアに直接取り込むことが可能となる。

 JPEG XSは、JPEGの直接的なアップグレードや交換を目的としたものではない。
現在、国際標準化機構(ISO)の加盟国による最終承認を待っているところだ。
承認が取得できれば、JPEG XSベースの製品とサービスを開始することができる。
プロフェッショナル向けのカメラ機器や映像業界で採用され、自動運転車、VR/AR、マルチメディアデバイスからのワイヤレスな映像伝送用途への大きな展開が期待される。

 

 

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