2017. 02.05 SUN

Chaotic:Linear TV and OTT, and Programming services
リニア放送とOTTのコンテンツおよび番組提供サービスの混沌化。

■ 米国・動画配信サービス加入者の過半数、複数のサービスを利用
 米国ブロードバンド利用世帯数の63%は、何かしらの動画配信サービス(OTT)に加入している。
そして、複数のOTTサービスを利用している世帯数も増えてきていることが、米リサーチ会社パーク・アソシエイツの調査より発表されている。
これらは2016年第3四半期までの結果で、複数のOTTサービスを使用している数は2015年第1四半期時からの2年間で57%ほど増加しており、OTTサービス業者の増加で、消費者が多様な選択肢を入手しつつあることを表している。

 本調査で、複数のOTTサービスに加入していると答えた中では、NetflixとAmazon Videoの組み合わせが最も多かった。
サブスクリプション型OTTサービスの消費額は、過去4年間で着実に増加しており、特に昨年の1年間は著しい伸びを示している。
興味深いことに、米国一般世帯のOTTサービスにかける金額は平均月額7.95ドルで、NetflixとHuluのサービス月額7.99ドルに非常に近い数字となっている。
これは、米国市場での消費者期待値がNetflixとHuluによって設定されていることを示している。
有料テレビ利用者は、月平均29ドルを動画関連の娯楽に費やしている反面、ブロードバンド加入者は、月平均わずか80セントをダウンロード購入形式の動画視聴に払っている統計が出ている。
つまりブロードバンド環境を持つ一般家庭では当面、サブスクリプション型OTTサービスが提供するコンテンツで満足しているとみられる。

■放送とインターネットの視聴環境が併合
 テレビ受信機がインターネット対応のスマートTV化したおかげで、PCモニターで視聴していたOTTサービスも、お茶の間のテレビと同じ環境で楽しめるようになった。
OTTサービス側は、競合サービス業者との差別化も意識し、テレビ番組のクオリティを追及したコンテンツを独自で制作するようになった。 

2016年中、Netflixはオリジナルを44作品(前年比13増)、Amazonは13作品(前年比8増)、そしてHuluは10作品(前年比1増)を配信している。

 事実、テレビ界のアカデミー賞と称されるエミー賞において、68回目(2016年秋)では、OTT出身の200作品以上がノミネートされた中、40作品以上が受賞した。
2017年1月に開かれたゴールデングローブ賞では、Amazonが快挙し、ノミネート11作品中、2作品が受賞、Netflixはノミネート6作品中、2作品が受賞した。 韓国や日本では、コンテンツ制作能力の高いテレビ局の番組コンテンツを、NetflixやAmazonといった海外OTT事業者が着目し、ローカライズやスピンアウトさせたオリジナル番組として提供している。
さらに昨年からは逆方向に、OTTサービスのオリジナル番組を放送局側で取り上げる動きも見せ始めている。
Netflixのオリジナルドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」がフジテレビ系列で、NHKでは「火花」を2017年2月から放送開始している。

■ 放送とネットサービスの垣根がなくなる
 2016年第3四半期末の米サブスクリプション型OTTビデオサービスのトップ10は、次のとおり。
(パーク・アソシエイツがOTT Video Market Trackerで分析した結果より)

1. Netflix
2. Amazon Video (Amazon Prime)
3. Hulu
4. MLB.TV
5. WWE Network
6. Sling TV
7. HBO Now
8. Crunchyroll
9. Showtime
10. CBS All Access

 トップ3は現在リニア放送で提供しているテレビ番組を網羅し、加えてオリジナル番組や独占配信コンテンツを保有している。
またMLB.TVやWWE Networksといった、ライブ配信で楽しめるスポーツコンテンツの人気も確立してきている。
ここにきて注目すべきは、テレビ局が始めたサブスクリプション型OTTサービスの利用者数が増えてきたことだ。
CBSのCBS All Accessのように、インターネットでのライブ放送とVODサービスを兼ねたものに加えて、FOXは昨年夏より、選定したテレビ番組を放送と同時間にインターネットでも提供するサービス(IPサイマル放送)を開始している 

総務省、「放送を巡る諸課題に関する検討会 第一次取りまとめ」公表資料 より(2016年9月)

 このように放送事業者がOTTサービスを同軸で運営することに加え、“テレビとネット同時配信”である「IPサイマル放送」の兆しは、日本でも同じように起きている。
昨年の夏季オリンピック時に、NHKが競技中継において、IPサイマル放送を実験的に行った のは、記憶に新しい。
放送法が改定され、IPサイマル放送が全面解禁になる2019年は、東京オリンピックを目の前に、“生放送とライブ配信”の融合にも拍車がかかる年になるのではないだろうか。 

 

 

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