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'The Hobbit: An Unexpected Journey' World First 48 FPS 3D

12月15日

 

「ホビット 思いがけない冒険」~世界初のHFR上映の背景

 

 

 

 

 

ロードオブリングの原作「指輪物語」の初期作品にあたる「ホビット 思いがけない冒険」が12月14日より全国で上映開始となった。 3Dと2D、IMAX 3Dのほか、全国60以上の劇場において、史上初めてHFR (ハイフレームレート)3D(字幕版)という新フォーマットでも上映されている。 HFRでの上映は、米国では約450館、英国では100館以上で行っている。

 

最近デジタルシネマ化された映画館であれば、設置プロジェクターの多くがHFR対応になっているため、サーバーのファームウェアをアップグレードすればHFRで上映できるようになっている。 HFRでは、従来のフィルムのフレーム数24fpsを倍以上の毎秒48フレーム(48fps)で撮影および上映する。 今まであったフィルム独特のちらつきがなくなるため、特にS3Dでは肉眼で見る光景により近いものに再現し、臨場感も格段のものにするという。

 

HFRに関しては数年前からNABやIBCでも特別なセッションが設けられ、映画だけではなく放送市場における先進技術として認められてきた。

映画市場では、ホビットの監督/企画/脚本を手がけたピーター・ジャクソン監督と、「アバター」「シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語」のジェームズ・キャメロン監督がエバンジェリストであろう。 キャメロン監督は現在、「アバター」の続編2部を48fpsで収録している。

 

HFRの映像としては48fps以外にも60fpsで制作されたものがあり、ディズニーランドのStar ToursやユニバーサルスタジオのKing Kongアトラクションの映像は60fpsで作られている。後者は、映画「KingKong」を崇拝しているジャクソン監督が担当したものだ。

 

 

また60fps提唱として、30年ほど前には「2001年宇宙の旅」「未知との遭遇」で特殊効果スーパーバイザーを務めたダグラス・トランブル監督がShowScanを開発し60fpsで撮っている。 しかし、かかる費用やオーディオ技術が当時追いつかず、浸透するまでには至らなかった。

 

ホビットは3部構成。 2008年夏からギレルモ・デル・トロ氏を監督に、プリプロダクションが始まったが、MGMの倒産により資金繰りが悪化、またギレルモ・デル・トロ監督が制作遅延を理由に降板するというハプニングがあり、その後「ロード・オブ・ザ・リング」3部作を手がけたピーター・ジャクソン監督のもと、ようやく2011年から撮影が開始された。  

 

撮影日数は280日近くかかったという。 ジャクソン監督が共同オーナーでもあるストーン・ストリート・スタジオをメインに、ニュージーランドの壮大な自然を舞台に全国を回って撮影している。 収録カメラには48台のRED EPICカメラを採用、S3D撮影には17基の3ality TechnicaのTS5リグが用意された。 

 

StoneStreetStudio

ストーン・ストリート・スタジオ - BackLotは巨大なグリーンバック撮影が可能なスペース。 
「キングコング(2006)」を撮影したスタジオスペースは世界最大級クラスで2229m2にもなる。

 

 

 

今回の収録は、ドリーからクレーン、スティディ、ショルダーまで、すべてREDカメラを使っている。 

 

 

これだけ多くの同じ機種だと仕訳のナンバリングでは大変かと思うが、REDカメラには個々にジャクソン監督の身内や知り合いの名前が付けられている。 実際の収録は48fpsにこだわらず、その倍の96fpsや他の速度でも収録したという

 

RED_Paul

"Paul" RED EPIC カメラ

 

 

RED EPICのおかげで、収録方法は基本的に従来の撮影とさほど変わりなかったが、3部作であることでショット数も通常の映画収録よりも当然多く、そして5Kファイル、S3D用として倍のデータサイズと、莫大なデータ量を扱うことで費やすレンダリング時間が一番の課題となったようだ。 勿論アートデパートメントから特殊効果・メーキャップまでHFRおよびS3D(HFR)を意識している。 被写体の顔のメーキャップは通常以上に赤色を乗せたという。

 

 

ArtDep

アートデパートメントでのコンセプトデザインチーム。 S3D環境での世界観を創り上げる。

 

ハイフレームレートでのプレミア上映では、賛否両論があった。 ちらつきがなくなり画面がよりスムースになった反面、従来の24フレームという映画質感に慣れてしまった我々の目では、それが反対に安っぽく感じてしまう、という意見も多かったという。  ジャクソン監督はFacebookで「それはアナログレコードがデジタルCDにとって代わってしまった瞬間と同じだ。」と語る。 

1920年以来、つまり90年も変わらないフレームレートで映画は上映されてきた。 しかし、既に技術は先を越している。 「(24fpsで続けられてきたこと)それは最高のクオリティを出す速度だからではなく、1920年当時もしくはそれ以降でも、基本的に許容可能な結果を達成できる最も適当な速度だったからだ。 我々はより高いフレームレートで撮影し上映する時代に向かっている。 ワーナーブラザースは非常に協力的で、過去に事例がないにも関わらず、ホビットの撮影を48fpsで撮らせてくれた。」

 

©2012 Warner Bro. Entertainment Inc. 

 

 

 

 

 

 
 
 
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